【神様、降臨。〜大検受験紀行〜】?嘔吐地獄天国
2002年8月1日<前回(昨日)の概要>
大検受験の為に泊めて貰っている友人Rの家で、覚醒作用のあるテオフィリンという薬を飲んでほぼ一夜漬け状態で勉強した私は眠る事も出来ず、そのまま朝を迎えた。
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今日からいよいよ本試験である。
本日の私の受験日程は、
国語→(昼休み約1時間)→現代社会→家庭科→(次の地理までの時間待ち約3時間)→地理
といった感じになっている。
ちなみに本試験は明日まであり、明日は地学を残すのみだ。
大検というものはまともに全科目受けるとなると9科目あるのだが、嬉しい事に、私のような高校中退者ならば、在学中に取得した単位によって数科目免除して貰えるのだ。また、英検や漢検、簿記や情報処理等の資格(定められたレベル以上)を有していると、それも試験免除の対象になる。
私は英検準2級を持っているので、それと高校在学時に取得した単位も併せ、合計4科目免除された。つまり受験するのは5科目という事だ。
試験前にテオフィリンを数錠飲んでおいた。今思えばこれが悲劇の発端といえば発端であったのだが…。
国語は一番最初の受験科目だったので流石に緊張した。注意書き等は、事前に問題集の表紙を見ていたので理解出来なくて焦るような事は無かったが、実際にマークシートに対峙して記入していくと、「何か間違いや記入漏れは無いか」と焦って来て、心臓がバクバクして来た。
だが、前日の一夜漬け試験勉強で見越した通り、国語はびっくりする位簡単だった。上手くいけば満点かそれに近い点数を取れている筈だ。
昼休みを利用して、次の受験科目である現代社会、家庭科の見直しや解き直しをする。ここでまたテオフィリンを数錠飲んだ。
現代社会、手も足も出ないという程ではない。しかし何せほぼ一夜漬けで勉強したものだから、細かく覚えていない単元からの出題も多くあり、どうにも回答に詰まる問題が少なくない。一応全てマークしたが、満足のいく結果に終わったとは言い難い。後で予備校からの回答もまだ届いていないというのに勝手に自己採点のようなものをしてみたところ、現代社会が一番落とす可能性が大きそうだという事が判った。
家庭科、これは問題集を解いている時にも感じたが、問題数が多い。制限時間50分で40題あるという事は、単純計算すると1問1分強で解かなければならないという事だ。家庭科の問題数が多いというのは覚悟していたので、とにかくスピードを意識して解いていった。問題数が多い代わりに、平均して問題の難易度は比較的簡単だったが、さっぱり判らない問題・回答したはいいがどうにも合っているのかどうか怪しい問題も多々あった。全問に解答し終わる頃には既に残り時間5分〜10分位になっていて、ろくに見直しも出来なかった。が、終了時刻間際まで必死になってマークしている人もいたようだし、やはり条件は皆同じという事か。こちらも後に軽く自己採点のような事をしてみたが、現代社会の次に家庭科が危なそうだという結論に至った。しかし問題数や難易度、他の受験者の様子からして合格ボーダーとなる点数がやや下がるかも知れない。希望を捨ててはいないのだ。
次の受験科目である地理の試験が始まるまでに、待ち時間が3時間弱もあった。
この時間を利用して、控室で初めて地理の問題集に取り掛かった。どうせ地理は、予備校の先生でさえ「ある程度の国語力があれば勉強しなくても受かる」と言っていたくらいだ。実際、私も解いてみてそう思った。
昨晩は、試験の時間帯と難易度を考慮して、国語・現代社会・家庭科に絞って勉強していた。地理は、この待ち時間を利用して片付けてしまえば良いと昨晩から考えていたのだ。
嫌いな地形図の問題が出て来た。今までの3科目の緊張と昨夜の徹夜の疲労が重なったのか、はたまた猛暑にもかかわらず空調を設置していない会場でバテたのか、段々やる気が無くなって来た。
喫煙室に行って煙草を吸う。アミノサプリを飲む。トイレに行く。何だか頭がフラフラする。
…どうも心身共に疲弊してきてるな。
3時間。長過ぎる。結局控室に戻ってそのまま問題集の続きを解くが、何だか頭痛がするし、テオフィリンの飲み過ぎの所為か胸焼けがする。とてもじゃないが勉強に集中出来る状態ではない。
それでも何とか勉強を続け、一段落したところで何気なく自分の手を見て驚いた。
青い血管が何本も浮き出ているのだ。
そういえば心拍数も上がっているような気がする。試しに脈を取ってみる。
…早い。
脈動が異常に早かった。
…テオフィリンの過剰摂取の所為か。
元々テオフィリンはカフェインとよく似た構造を持ち、私にとっては何故か覚醒剤のような働きをする薬だ。頻脈になっても何ら不思議は無い。
それに、元々は喘息の治療の為に出された薬だ。私のように半ばドーピング的な無茶な使い方をすれば身体に無理が掛かって当たり前だ。しかも私は、今日だけでも1日の規定量の3倍も飲んでいたのだから。
…テオフィリンの血中濃度を下げなければ。
テオフィリンの半減期はどのくらいだろう?
調べてなかったな…。
とにかく、水分を摂って血中濃度を下げて、
興奮系の薬であるテオフィリンの薬効を下げる為、
抑制系の薬を飲もう。
アミノサプリをがぶがぶ飲み、それでも足りなかったので足取りも意識もおぼつかぬまま自販機を探す。見当たらない。本部に聞いてみると、外まで出ないと無いという。仕方無くアミノサプリの容器に水を詰め、飲んだ。
そして、携帯していた薬袋の中から睡眠薬を取り出す。長期型で効果も強いものを選んだ。それを先程汲んだ水で流し込む。これで少しは楽になれるだろうか。
体調の事はさておき、まだ解いていない問題が残っていたので何とかそれを片付ける。採点する。よし、まぁ、いけるだろう。
まだ時間が余っていたので、試験開始まではひたすら控室の窓際の風通しの良い席で、机に覆い被さるようにして伏せっていた。テオフィリンが早く抜けてくれる事だけを祈りつつ。
ようやく試験開始時刻となった。
意識を失わないだろうか、吐かないだろうか、こんな状態で集中して問題に取り組めるのだろうか。
不安は多々あった。が、いざ解答用紙と問題用紙を配られてみると、人間とは意外と土壇場に強いもので、案外すんなりと解答していく事が出来た。
無論体調が良くなった訳ではない。ただ、試験に集中しているうちに体調の事は脳の片隅に押しやられてしまったようだ。
心配していた「不明瞭で複雑な見づらい地形図」も出なかった。自信の無い問題も数問あったが、一応推測と勘を頼りに全て解答したので、合格ラインには達しているだろう。
解き終わり、時間もある程度余っていた。他の科目ならここで入念な見直しに入るところだが、流石に身体と精神が着いて来てくれず、簡易な見直しだけ済ませて後は机に伏せっていた。
終了後、フラフラしながら借りていたRの自転車でR宅へと戻る。
私の様子を見たRが心配してくれた。本当ならここで明日の受験科目である地学の勉強を始めなければならないのだが、無理と判断して少し眠る事にした。
途切れ途切れに何度も目が覚めた。
Rは私から見える位置でゲームをしていた。
暫くして少し体調が良くなったような気がして、Rの隣で話をしていた。
「トイレ行って来ようかな。……ぁ、ごめん……気持ち悪い……吐いちゃったらごめんね」
Rは構わないと言ってくれた。
吐いた。
「ゲロの神」は、この後も含め札幌滞在期間中、通算3回も私に降臨した。
しかし、吐くごとに少しづつ楽になった。
「ゲロ神」には感謝すべきなのか、そうでないのか判断に困るところだ。
大検受験の為に泊めて貰っている友人Rの家で、覚醒作用のあるテオフィリンという薬を飲んでほぼ一夜漬け状態で勉強した私は眠る事も出来ず、そのまま朝を迎えた。
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今日からいよいよ本試験である。
本日の私の受験日程は、
国語→(昼休み約1時間)→現代社会→家庭科→(次の地理までの時間待ち約3時間)→地理
といった感じになっている。
ちなみに本試験は明日まであり、明日は地学を残すのみだ。
大検というものはまともに全科目受けるとなると9科目あるのだが、嬉しい事に、私のような高校中退者ならば、在学中に取得した単位によって数科目免除して貰えるのだ。また、英検や漢検、簿記や情報処理等の資格(定められたレベル以上)を有していると、それも試験免除の対象になる。
私は英検準2級を持っているので、それと高校在学時に取得した単位も併せ、合計4科目免除された。つまり受験するのは5科目という事だ。
試験前にテオフィリンを数錠飲んでおいた。今思えばこれが悲劇の発端といえば発端であったのだが…。
国語は一番最初の受験科目だったので流石に緊張した。注意書き等は、事前に問題集の表紙を見ていたので理解出来なくて焦るような事は無かったが、実際にマークシートに対峙して記入していくと、「何か間違いや記入漏れは無いか」と焦って来て、心臓がバクバクして来た。
だが、前日の一夜漬け試験勉強で見越した通り、国語はびっくりする位簡単だった。上手くいけば満点かそれに近い点数を取れている筈だ。
昼休みを利用して、次の受験科目である現代社会、家庭科の見直しや解き直しをする。ここでまたテオフィリンを数錠飲んだ。
現代社会、手も足も出ないという程ではない。しかし何せほぼ一夜漬けで勉強したものだから、細かく覚えていない単元からの出題も多くあり、どうにも回答に詰まる問題が少なくない。一応全てマークしたが、満足のいく結果に終わったとは言い難い。後で予備校からの回答もまだ届いていないというのに勝手に自己採点のようなものをしてみたところ、現代社会が一番落とす可能性が大きそうだという事が判った。
家庭科、これは問題集を解いている時にも感じたが、問題数が多い。制限時間50分で40題あるという事は、単純計算すると1問1分強で解かなければならないという事だ。家庭科の問題数が多いというのは覚悟していたので、とにかくスピードを意識して解いていった。問題数が多い代わりに、平均して問題の難易度は比較的簡単だったが、さっぱり判らない問題・回答したはいいがどうにも合っているのかどうか怪しい問題も多々あった。全問に解答し終わる頃には既に残り時間5分〜10分位になっていて、ろくに見直しも出来なかった。が、終了時刻間際まで必死になってマークしている人もいたようだし、やはり条件は皆同じという事か。こちらも後に軽く自己採点のような事をしてみたが、現代社会の次に家庭科が危なそうだという結論に至った。しかし問題数や難易度、他の受験者の様子からして合格ボーダーとなる点数がやや下がるかも知れない。希望を捨ててはいないのだ。
次の受験科目である地理の試験が始まるまでに、待ち時間が3時間弱もあった。
この時間を利用して、控室で初めて地理の問題集に取り掛かった。どうせ地理は、予備校の先生でさえ「ある程度の国語力があれば勉強しなくても受かる」と言っていたくらいだ。実際、私も解いてみてそう思った。
昨晩は、試験の時間帯と難易度を考慮して、国語・現代社会・家庭科に絞って勉強していた。地理は、この待ち時間を利用して片付けてしまえば良いと昨晩から考えていたのだ。
嫌いな地形図の問題が出て来た。今までの3科目の緊張と昨夜の徹夜の疲労が重なったのか、はたまた猛暑にもかかわらず空調を設置していない会場でバテたのか、段々やる気が無くなって来た。
喫煙室に行って煙草を吸う。アミノサプリを飲む。トイレに行く。何だか頭がフラフラする。
…どうも心身共に疲弊してきてるな。
3時間。長過ぎる。結局控室に戻ってそのまま問題集の続きを解くが、何だか頭痛がするし、テオフィリンの飲み過ぎの所為か胸焼けがする。とてもじゃないが勉強に集中出来る状態ではない。
それでも何とか勉強を続け、一段落したところで何気なく自分の手を見て驚いた。
青い血管が何本も浮き出ているのだ。
そういえば心拍数も上がっているような気がする。試しに脈を取ってみる。
…早い。
脈動が異常に早かった。
…テオフィリンの過剰摂取の所為か。
元々テオフィリンはカフェインとよく似た構造を持ち、私にとっては何故か覚醒剤のような働きをする薬だ。頻脈になっても何ら不思議は無い。
それに、元々は喘息の治療の為に出された薬だ。私のように半ばドーピング的な無茶な使い方をすれば身体に無理が掛かって当たり前だ。しかも私は、今日だけでも1日の規定量の3倍も飲んでいたのだから。
…テオフィリンの血中濃度を下げなければ。
テオフィリンの半減期はどのくらいだろう?
調べてなかったな…。
とにかく、水分を摂って血中濃度を下げて、
興奮系の薬であるテオフィリンの薬効を下げる為、
抑制系の薬を飲もう。
アミノサプリをがぶがぶ飲み、それでも足りなかったので足取りも意識もおぼつかぬまま自販機を探す。見当たらない。本部に聞いてみると、外まで出ないと無いという。仕方無くアミノサプリの容器に水を詰め、飲んだ。
そして、携帯していた薬袋の中から睡眠薬を取り出す。長期型で効果も強いものを選んだ。それを先程汲んだ水で流し込む。これで少しは楽になれるだろうか。
体調の事はさておき、まだ解いていない問題が残っていたので何とかそれを片付ける。採点する。よし、まぁ、いけるだろう。
まだ時間が余っていたので、試験開始まではひたすら控室の窓際の風通しの良い席で、机に覆い被さるようにして伏せっていた。テオフィリンが早く抜けてくれる事だけを祈りつつ。
ようやく試験開始時刻となった。
意識を失わないだろうか、吐かないだろうか、こんな状態で集中して問題に取り組めるのだろうか。
不安は多々あった。が、いざ解答用紙と問題用紙を配られてみると、人間とは意外と土壇場に強いもので、案外すんなりと解答していく事が出来た。
無論体調が良くなった訳ではない。ただ、試験に集中しているうちに体調の事は脳の片隅に押しやられてしまったようだ。
心配していた「不明瞭で複雑な見づらい地形図」も出なかった。自信の無い問題も数問あったが、一応推測と勘を頼りに全て解答したので、合格ラインには達しているだろう。
解き終わり、時間もある程度余っていた。他の科目ならここで入念な見直しに入るところだが、流石に身体と精神が着いて来てくれず、簡易な見直しだけ済ませて後は机に伏せっていた。
終了後、フラフラしながら借りていたRの自転車でR宅へと戻る。
私の様子を見たRが心配してくれた。本当ならここで明日の受験科目である地学の勉強を始めなければならないのだが、無理と判断して少し眠る事にした。
途切れ途切れに何度も目が覚めた。
Rは私から見える位置でゲームをしていた。
暫くして少し体調が良くなったような気がして、Rの隣で話をしていた。
「トイレ行って来ようかな。……ぁ、ごめん……気持ち悪い……吐いちゃったらごめんね」
Rは構わないと言ってくれた。
吐いた。
「ゲロの神」は、この後も含め札幌滞在期間中、通算3回も私に降臨した。
しかし、吐くごとに少しづつ楽になった。
「ゲロ神」には感謝すべきなのか、そうでないのか判断に困るところだ。
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