不可解な虚脱

2002年7月8日
デイケアという言葉を聞いてもそれが一体どんなものであるのかわかる人は少ないと思う。
狭義で言うと、要するに精神科で行われる作業療法や行動療法のようなもののことを指す。
専門の知識・経験・資格を持ったデイケアスタッフが常駐していて、病院にもよるが概ね10名から20名位の患者さんが在籍しているのが一般的だ。
私もデイケアに通っている一人だ。毎日来る人もいれば、曜日が決まっている人もいる。来たい時だけ来る人もいる。
一応朝の10時から夕方4時までと時間が決まってはいるが、遅刻・早退しても怒られることはない。
私は現在、基本的に毎日通うことにしている。今日は診察日でもあったのでなるべく遅刻はしないようにと思い、オーディオと携帯電話で目覚ましを掛けておいたのだが目覚めたら既に2時をまわっていた。
睡眠薬の力は強力だ。特に私の場合かなりの量を飲んでいるのでなおさらだ。先日はベッドから転げ落ちても平気で寝ていたらしい。
とりあえず、病院にこれから診察に行っても大丈夫かと電話を入れた。問題ないということだったので急いで準備をして病院に向かった。
デイケアにはプログラムというものがあり、おおよそその日にどんな事をするのかが月単位で決定され、それらをカレンダーのようなものにびっちりと書き込まれた予定表が参加者に配られる。
しかし全員がきっちりと予定表通りにプログラムをこなしているわけではなく、やりたい人・気が向いた人だけかろうじて参加しているような状態だ。
実際私も毎日延々とトランプをしたり手工芸をしたり風船バレーをやったりするのは阿呆臭いと思うしすぐ飽きてしまうので、最近ではデイケアに行っても終日デイケアメンバーの患者さんやスタッフの人とだらだらと喋っていることが殆どだ。
今日は診察待ちの間にスタッフの人が誘うので少しだけハンドベルをやったが、やはりつまらなくてすぐ飽きてしまった。

デイケアと診察が終わった後、仲の良いメンバーの女の子3人と一緒にカラオケに行く。プリクラも撮って来た。
カラオケでひょっこり他のデイケアメンバーの男の人でMさんという人に会った。彼は慢性的に鬱状態が続いているようでカラオケが苦手そうなイメージがあったので、まさかカラオケボックスで鉢合わせるとは意外だった。
部屋番号を聞いておいて、後から彼の部屋に乱入する事にした。一通り歌って皆電車やバスの時間やら約束やらがあって、結局清算を済ませた時にはAちゃんと私の2人だけになっていた。
Aちゃんは夜の仕事をしていてやたらとお金を持っている。カラオケ代も全員分おごってくれた。
清算を済ませてからAちゃんと二人でMさんの部屋に乱入してみて更に驚いた。
なんとデイケアメンバーの女の人(Kさん)と二人きりだったのだ。
Aちゃんと2人して冷やかした。特に私が冷やかした。本人達は決してそういう関係ではないと否定していたが聞くところによると週1くらいで二人で会っているようだし、なんだかんだいって二人はデキているとしか思えない。
Aちゃんがまた新しい夜のお仕事を始めるらしく面接の時間が迫っているというので、Aちゃんはすぐに撤退してしまった。
MさんとKさんが私が居ても別に構わないというのでお言葉に甘えて、少し居座らさせてもらった。ついでに更にお言葉に甘えて、1曲だけ歌わせて貰った。最後はKさんと二人で歌った。
Mさんは帰る方向が違ったので、自転車を止めてある場所までKさんと話しながら歩いた。Kさんとじっくり話すのは初めてだったけど、意外と話がはずんで楽しかった。Kさん曰く、「cocoさんは存在感があるのですぐ覚えた」との事だった。私は確かに鬱でない時は気軽に人に話し掛けるタイプだし、もう長いこと今の病院に通っているので先生・受付のおねえさん達・デイケアスタッフ及びメンバー・病院の向かいの薬局のおじちゃんおばちゃんにも殆ど顔パス状態なのだが、そんなに存在感があると思われていたとは知らなかった。
Kさんと歩いている途中で大麻に似た草が生えているのを発見した。街中のど真ん中の駐車場で、である。早速何枚かむしってきたので、乾燥したら本当に大麻かどうか試しに吸ってみようと考えている。
私がその得体の知れない草をむしっている時に「ここらへんでおいしいラーメン屋知りませんか?」と見知らぬおじさんに声を掛けられた。
私の住んでいるところは北海道旭川市で、一応ラーメンで全国的に有名な街なので美味しい店を探していたらしい。
すぐ近くの私のお気に入りの店を紹介してあげたのだが、旭川に来るのは初めてだったらしく場所を説明してもさっぱり判らないという。諦めてそのおじさんはすぐに去っていった。
なかなか話は尽きなかったがKさんもバスの時間等あるだろうし、私もネットに繋いでメールチェックやらしなければいけなかったし彼氏とMSNメッセンジャーで話したかったので、取り敢えず話は適当に切り上げて自転車を飛ばして家に帰った。
ウォークマンで中村一義を聞きながら。
今日は外にいる時暇があれば中村一義を聞いていた。聞いていない時もヘッドフォンをずっと首に掛けていていつでも聞けるようにしていた。
中村一義が好きだ。特に外で聞くとすごく気持ちがいい。
家に帰るといつもの如く家の中には誰も居なかった。
着替えて、さてネットに繋ごうかな、と考えたがどうにも繋ぐ気がしない。何も、やる気が出ない。TVもDVDも見たくないし本も読みたくないし音楽も聞きたくない。
私何したらいいんだろう、何がやりたいんだろう、何をするべきなんだろう、どうしたらいいんだろう。
部屋のフローリングの床に暫く何もせずに寝転がっていた。大勢で騒いだ後の虚脱感だろうか、何なんだろう、これは。
取り敢えず煙草を吸う。一番軽い睡眠薬を1錠だけ飲んでみる。ずっと止めていたリストカットを、また少しだけしてしまった。私の場合人にリストカットの痕を見つかるのが嫌なので腕ではなく二の腕あたりを切るので、正確には「リスト」カットではないかもしれない。カッターで、左腕に浅く4本だけ傷をつけた。
やがて電話が掛かってきた。札幌の友達からだった。話しているうちに何だが少し元気になってきて、取り敢えずメールチェックくらいはしておこうという気になってネットに繋いだ。
返すべきメールを返し、ライチサワーを飲みながらふらふらと行きつけのサイトを回っているうちに、ようやくメッセンジャーやチャットする気分になってきた。
しばらくチャットしていた。14日に彼氏の友達とダブルデートも兼ねて花火に行こうと誘われた。
今から楽しみだ。
明日はAちゃんの家に遊びに行くことになっている。最近楽しい事ばかりで、以前に比べると文句のつけようもない程活発に行動している筈なのに、「じゃあね」と言った後のあの虚脱感や無気力感は一体何なんだろう。

全てに溢れ、何かが無くて…。
全てが解って、何も解らなくて…。

それが、今の私なのかもしれない。

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